歴史の一端を感じる発掘調査。
| 名前 |
平安京右京二条三坊3遺跡 |
|---|---|
| ジャンル |
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| 評価 |
5.0 |
| 住所 |
〒616-8061 京都府京都市右京区花園春日町4−4 シャルマンコーポ円町 |
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ストリートビューの情報は現状と異なる場合があります。
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平安京右京二条三坊の発掘調査から見える歴史の一端現代の都市開発と歴史の邂逅京都市右京区花園春日町で計画されたマンション建設に先立ち、発掘調査が行われました。この地は平安京の右京二条三坊十五町に該当し、平安時代や古墳時代の遺構が良好に保存されている地域です。今回の調査で検出された遺構や遺物は、平安時代の都市計画や生活の一端を垣間見る重要な手がかりとなりました。発掘の経緯と調査手法調査は、建設予定地内に3か所の試掘トレンチを設けることから始まりました。その結果、平安時代の遺構・遺物が確認され、本格的な発掘調査が実施されました。調査区は南北約30m、東西約36mという逆L字形に設定され、遺構の広がりに応じてさらに西部と北東部を拡張しました。特に注目すべきは、敷地東辺部で推定された「恵止利小路」の西側溝の確認です。この溝の検証を目的にトレンチを3か所設け、建物や井戸なども含めた詳細な調査が進められました。発見された遺構とその意義調査では、多様な遺構が発見されました。掘立柱建物:10棟柵:9列溝:8条井戸:1基その他:土壙や用途不明のピット多数これらの遺構は、平安京の宅地内施設として計画的に配置されており、四行八門制という当時の都市計画の影響が色濃く反映されています。また、遺構間の切り合いや位置関係から、大きく3期に区分されることがわかりました。Ⅰ期:9世紀中頃Ⅱ期:9世紀後半Ⅲ期:9世紀末~10世紀中頃各期における遺構配置の変化は、平安時代の暮らしや都市構造の変遷を物語っています。出土した多彩な遺物遺物の出土も今回の調査の大きな成果の一つです。整理箱33箱分におよぶ遺物は、当時の生活や国際交流を示す貴重な資料となっています。主な出土品土器類:土師器、須恵器、黒色土器、緑釉陶器、輸入陶磁器(青磁・白磁など)瓦類:平瓦、丸瓦、軒平瓦その他:土馬、硯、線刻土器、櫛、銅銭(延喜通宝9枚)特筆すべきは輸入陶磁器や「尾張」の墨書がある土器、さらに線刻で「□泉」と記された土器の存在です。これらは当時の交流範囲や文化的背景を考えるうえで重要な手がかりとなります。調査の成果と今後の展望今回の発掘調査により、平安京右京二条三坊十五町の東一行北三・四門に比定される区域の具体的な構造が明らかになりました。特に、条坊制による宅地区画の痕跡や、当時の生活の一端を示す遺物の数々は、平安時代の都市生活を考察するうえで貴重な資料です。調査結果は、今後の研究や地域史の解明に寄与するでしょう。これからもこうした発掘を通じて、現代の都市開発と過去の歴史的価値が共存する街づくりが期待されます。