世界で唯一の現存しているタタラ場。
日刀保たたら(鳥上木炭銑工場) / / .
出雲神話の八岐大蛇(Yamatano-orochi)伝説を ご存知だろうか。
須戔嗚尊(Susano-ono-mikoto)が八岐大蛇を退治したときに 切った尻尾から出てきたのは剣(tsurugi)……それが天叢雲剣(Amano-murakumo-no-tsurugi)と呼ばれる刀である。
そして須戔嗚尊が降り立った地は奥出雲の鳥髪(Torikami)という地であった と言い伝えられている。
奥出雲は たたら製鉄の本拠地であることから、大蛇伝説(Orochi-dennsetsu)は 誠にふさわしく お似合いであり定着している。
奥出雲の文化風土のなかで 出雲神話と たたら製鉄は いま以て古代ロマンを掻き立ててくれてるような気がする。
rr 〝奥出雲たたらと刀剣館〟の見学を終えたのち 旧知の仲であるTH氏と供に 車で僅か8分程度のところにあるココ〝日刀保たたら〟を駄目モトで訪ねてみた。
ここは 『文化財保護法の選定保存技術』に認定されているところ。
駄目モトとは つまり 玉鋼造りは 年におよそ一度ほどで それも冬におこなわれる という事である。
関連した体験学習も僅かにある程度。
従って一年の三百何日は閉場と考えるのが妥当かと⁉︎ 到着したら やはり想像通りではあったが 折りしも その日は関係者の当直日?だったようで 幸運にもお話しを お伺いすることが叶い しかも工場内も定められた範囲内で視察することが許された。
rr 出雲神話によると 鉄づくりの神である金屋子神(Kanayagokami)が白鷺(shirasagi)に乗って カツラの木に舞い降り 製鉄技術を授けたという金屋子神話が今も 製鉄関係者のほか 特に鍛冶屋職人によって深く信仰されている。
なくてはならない神を 崇(aga)め奉(tatematsu)るために 島根県安来市広瀬町に総本山を構える社(yashiro)から分霊を授かり 敷地の高殿に祀られている。
そして 一里四方の水を集めると云われる カツラの木は たたら製鉄場の守り神として社のそばで 勢いよく天を仰いでいた。
因みにカツラの木の芽吹き期は 一般の木の萌葱色(moegi-iro)とは異なり 本葉が成長する僅かな期間だけ朱色を呈することから たたら製鉄で木炭を燃やす火の色に ちなみ その木の存在を説いている話しもあるようだ。
rr 〝日刀保たたら〟では 年に一度 冬に たたら製鉄がおこなわれ でき上がった貴重な玉鋼は日本各地の名刀匠に分け与えられる という。
ここでは 〝見学・体験募集〟もおこなっているが たたら製鉄が極めて職人技に依存する要素の多い事から 頻繁に募集をする訳にもいかない事情があるのだろう………年あたりの回数は微小である。
小生も一度は経験をしてみたく 電話で問い合わせをしてみたが 今年の実施計画は未だ策定前の段階で 何も決まっていない と云う丁寧な対応を頂いている。
rr 〝日刀保たたら〟の本筋をお話しせねばならぬところ くどく まわり道をしてしまったようにもみえるが ここ〝日刀保たたら〟でおこなわれる玉鋼造りは 小生らが事前に訪れ 見学して学んだ〝奥出雲たたらと刀剣館〟の内容そのものである。
一千有余年に渡って受け継がれて来た 日本古来の製鉄技術 たたら吹き は21世紀にあたる 今日も 往時と変らぬ作業風景を やがて冬が訪れると再現してくるだろう。
今や他では見られない現存することの新鮮さを再認識した次第である。
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名前 |
日刀保たたら(鳥上木炭銑工場) |
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ジャンル |
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電話番号 |
0854-52-1010 |
住所 |
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関連サイト | |
評価 |
4.8 |
世界で唯一の現存しているタタラ場。