珍しい五輪塔形式の庚申塔で、永福寺裏門脇に鎮座して...
珍しい五輪塔形式の庚申塔で、永福寺裏門脇に鎮座しています。
何故か地輪のみ漢字で「地」と銘刻されていますが、他の空風火水の四輪には梵字が刻まれています。
この五輪庚申供養塔の左右にも石塔があり、参拝者から見て左には青面金剛と三猿及びショケラが陽刻された通常タイプの庚申塔、右には舟形の地蔵菩薩立像が祀られています。
「庚申塔」は、「庚申塚」とも言い、「還暦」は60年に一回、「庚申(カノエサル)の日」は60日に一回です。
二ヶ月に一回の「庚申の日」に集い、一晩飲み、且つ語り明かすことは、当時の人々にとって、待ち遠しい日だったのではないでしょうか。
二ヶ月に一回は、江戸時代の生活のリズムにぴったりで、すばらしいコミュニケーションの場になったことと思います。
この「庚申供養塔」は1646年(正保3年)に造立され、杉並区最古の「庚申塔」で、珍しい五輪型をしており、また、「養福村」の村名記載もあり、貴重なものです。
江戸時代の庚申塔。
なにげに置かれている文化財。
杉並区内最古の庚申塔(こうしんとう)で、五輪塔形式は非常に珍しく、江戸時代の生活文化が学べる貴重なものです。
【庚申塔(こうしんとう)とは?】江戸時代に中国の道教を元に庚申信仰が大ブームになりました。
60日に一度巡ってくる庚申の日に、皆が宴会などで集まり徹夜する日です。
なぜ、徹夜するかと言うと、体の中に三匹の虫がいて、寝ている間に神様に告げ口すると信じられていたからです。
体から抜けられない様に徹夜することを庚申講(こうしんこう)と言い、それを3年間(18回)続けた記念に建てられたのが庚申塔です。
永福寺の横側の門の直ぐ側、永福稲荷神社の裏側、にあります。
名前 |
五輪庚申供養塔 |
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ジャンル |
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住所 |
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関連サイト |
http://www.city.suginami.tokyo.jp/kyouiku/bunkazai/sitei/1031591.html |
評価 |
3.8 |
永福寺の裏手、永福稲荷神社に面して石像が祀られています。
向かって左側に六臂青面金剛。
両上手で日月(逆様)、両下手に弓矢。
右本手に宝剣、左本手にショケラ。
下方に三猿(見ざる、聞かざる、言わざる)。
三猿の左右に二鶏。
「奉供養庚申塔」「天和元年辛酉」「霜月吉日」(1681年)向かって右側に地蔵菩薩。
右手に錫杖、左手に宝珠。
「元禄四辛未年」(1691年)中央に「五輪庚申供養塔」。
基台に「奉供養庚申〜」。
五輪塔とは宇宙を構成する五大要素である「地」「水」「火」「風」「空」を、それぞれ「六面体」「球」「三角錐」「半球」「宝珠」の形を重ねたものです。
それぞれに梵字「ア」「バ」「ラ」「カ」「キャ」が刻まれています。
庚申塔としては珍しい様式です。
紀年を確認できませんでしたが、説明板によると正保三年(1646年)造立とのことです。
17世紀の庚申塔は特に自由度が高いので興味深いといえます。