戦国時代の話。
取手市下高井に「高井城」という城があった。
城主は相馬胤永、守谷城主相馬治胤の弟であり武勇に優れていた。
ある日、胤永は守谷沼の辺りにて狩りをした。
この日は一匹の獲物も得られず諦めて城に戻ろうとした時、一羽の白鷺が胤永の方に向って舞い降りて来るのが見えた。
胤永は「これは獲物だ。
」と弓を引き絞り、白鷺に向ってびゅっと矢を放つと見事に命中。
白鷺は地面に落ちた。
この日の獲物は白鷺一羽だったが、胤永は上機嫌で城に戻ると家来達と酒盛りを始めた。
やがて夜も更けた頃、何処からか美しい娘が現われ、ひどく悲しげな声で「われは白鷺 野に住みて 短かき命長かれと 祈りもあだに弓弦の 矢先に消えし儚さよ」と歌いながら着物の袖さばきも軽やかに舞い踊った。
そして舞い終わると煙のように消えた。
胤永と家来達は、この不思議な出来事を目の当りにして大変驚いたが、やがて「これは昼間に射止めた白鷺の霊が、命を絶れた悲しみを訴えるため娘に姿を変えて現れたのだろう。
」と、白鷺が落ちた辺りに小さな祠を建てた。
これ以来、胤永は無用な殺生を絶ったという。
時は過ぎ江戸時代になると、誰かがこの祠を建て替え、薬師様をお祀りした。
これが今に残る奥山本田の薬師堂である。
(広報もりや「郷土の歴史」昭和55年8月10日発行号)
名前 |
奥山本田の薬師堂 |
---|---|
ジャンル |
/ |
住所 |
|
評価 |
4.0 |
周辺のオススメ

通勤途中にあるよ!