名前 |
鬼女紅葉石像 |
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ジャンル |
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住所 |
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評価 |
4.0 |
戸隠村鬼女紅葉伝説長野県 長野地方事務所 長野広域行政組合刊 長野地域民話集昔々あるところよ紅葉は京の都に仕えていた官女でしたが、無実のつみを着せられ、山深い信濃の国へ流されてきました。
初めは村人と仲良く暮らしていた紅葉は、やがて荒倉山を本拠とし悪事をはたらくようになり、鬼女と呼ばれます。
荒倉山のふところ深く、小さな沢に面した二つの洞穴、これが「鬼の岩屋」といって紅葉が根城にしていたところです。
これを聞いた朝廷は、鬼女紅葉退治を平維茂に命じました。
しかし、地理がわからない維茂は、下祖山まで来て、紅葉の本拠を探しあぐねました。
そこで弓矢によって占おうと見晴しのよい場所に立ち、八幡大菩薩を念じて、二本の矢を天に向かって放ちました。
二本の矢は西北の方角に飛び、裾花川を越えてはるか志垣の里に落ちたのです。
現在、その矢を放ったところに矢本神社、落ちたところに矢先八幡があります。
維茂軍は勇躍して西北の方角に向かいました。
途中、深い急流の渦巻く、橋のない裾花川を渡らねばなりません。
幸いな事に、このとき、川の中に倒木が引っかかって、柵(しがらみ)のようになった所があり、やっとのことで渡ることができました。
ここを柵橋といいます。
維茂軍は志垣の里から途中、田頭の岩窟観音に祈願し、荒倉山をめざして進撃し、ついに鬼の岩屋近く、母袋の池に陣をしきました。
紅葉一族の様子を探るため、維茂はほどよい林の中に幕を張って酒宴を催します。
そこへ紅葉が何くわぬ顔をして加わり、一緒に紅葉を愛でて打ち興じました。
紅葉も維茂が差し向けられたことを知ったので、腹をさぐりに来たのです。
維茂はいよいよ軍勢を整えて、進撃しました。
最初の激戦地は毒の平へ入る急傾斜地、木戸のあたり。
両軍入り乱れての戦いを突破した維茂軍は勢いを得て進みます。
そして、毒の平、竜虎ケ原が最大の決戦となりました。
紅葉はついに鬼の姿となって現われ、妖術を使い、維茂軍を悩まします。
しかし維茂は、八幡大菩薩と念じつつ剣をふるい、ついに紅葉を斬り伏せました。
そして残党を追って釜壇岩から鬼の岩屋、山の峰まで進撃し、ほぼ掃討しました。
維茂軍が勝ちどきをあげたところを、「安堵ケ峰」と呼んでいます。
勝利を収めた維茂は、紅葉の遺体を志垣の矢先八幡近くの小高い丘に埋葬し、五輪の塔をたてて供養しました。
これは今、「鬼の塚」と呼ばれ五輪の塔が残っています。