名前 |
永田良介商店 |
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ジャンル |
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電話番号 |
078-391-3737 |
住所 |
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関連サイト | |
評価 |
4.8 |
何と表現すればこの感動を伝えることが出来るだろう。
一言で表すなら「本物」。
貴方の魂が高いうちに、見に行って欲しい。
ネットでカチカチとものを見ることに何とも思わなくなったり、格安おしゃれ系ブランドの目に慣れてしまう前に。
日本で最も歴史のあると言っても過言ではない家具屋さん。
いや、家具屋様。
1872年、貴方のひいひいお祖母様が生まれたくらい?国を上げての神戸開港、そこからの歴史である。
だから、ここの人達が持っている繋がりや世に生み出した品はもう一級品なのである。
私事だが神戸に家を持って3年。
オシャレな雰囲気や異国情緒溢れる街がとても楽しい。
しかし所々で感じる神戸のバックボーンの威厳さに私は興味を持った。
かつて恐ろしく大きな街であった神戸の片鱗を肌て知りたかった。
その答えの一部を知れる気がして寄ったこちらのお店。
やはり何十倍にもなって返ってきた。
立ち寄ると、ニコニコとして足取りのしっかりしたご婦人が「いらっしゃいませ^^*」と出てきてくれた。
どうやら「6代目」のお母様らしい。
聞くと6代目は長年ヨーロッパに修行にもいってたのだとか。
こちらのマダム、神戸の歴史や成長と共に店が歩んだ話、本物の家具とはどういうものかを沢山話してくださった。
今日1日を振り返り大きな収穫だったと胸が高鳴る思い出を作ってくれた人物である。
まず目に付いた表の商品は、レザーの日用品たち。
こっくりとした艶をもったレザーが、スリッパやお財布に形を変え、美しくシックに並んでいた。
なんとこれらは〈神戸牛〉のレザー!!スリッパの中敷は椅子を作る際に余る生地出そうで、何十種類もあり、柄も他を圧倒するお洒落なものだった。
これらを作るコンセプトとして「SDGs」持続可能社会の実現の賛同から来るもので、なんとこれらは日本の前にミラノやパリで出品し、人気を博したのだという。
やはり、顧客的に、ヨーロッパの方が意識が高いということなのか。
恥ずかしさとともに、古い店なのに、1歩先を行くクリエイティブさの精神に脱帽であった。
私があまりにも興味津々で聞くのでマダムも気を許してくださったのか、「2階も見て見ます?リニューアルした空間でね、メインの家具があるんですよ」と。
ワクワクしながら階段を上る。
すると、思わずいさ息を飲んでしまう造形美が立ち並んでいた。
見たことも無い綺麗な布を纏う家具。
美しい彫刻をあしらった家具。
ものから立ち上がる威厳に、今の世がどれ程簡単に作られた似非物で溢れているかを痛感した。
マダムは続ける。
’’’〈神戸は長崎や横浜などの中でも最後に開かれた港でした。
だから、外国人の住む場所や日本人との交流も緩かった。
しかも、横浜と違ってヨーロッパ専用の航路だったから、そういった文化と日本人の細やかな職人文化が溶け合ったんですね〉’’’そうして生まれた家具の作りは、日本オリジナルのものとなった。
蝶番の位置や引き出しの作りまで、ホコリが入りにくかったり、湿気に強い衣類たんすだったり、和のテイストがミクスチャーされていた。
また、形だけでなく使われている布も、素晴らしかった。
ヨーロッパを中心に、ARMANIの新作デザインのものや、名デザイナーの柄など。
驚いたのだが、ファッションが1年ごとにコレクション発表するように、家具にも毎年トレンドの発表があるらしい。
東洋ではなく西洋で熱いその文化は、さすが布の国々だと教えてもらった。
そして、そういった家具の客が錚々たる面々なのである。
桜正宗を筆頭に灘の酒蔵の酒造の芦屋の別邸ヨドコウ迎賓館の家具や、雲仙観光ホテル、帝国ホテルの内装、神戸の実業家乾氏など。
本物の家具は一生モノだから、人が死んでも受け継いだ人々が修復しにいまもやってくるという。
そういう昔の日本を支えた大金ちたちには叶わないものの、アンティーク家具の魅力を愛でられる新規の人向けに、前者から買い取ったアンティーク家具を5万円ほどから売っているものもあった。
神戸の震災で失ったものは沢山あるが、マダムはかつての勢いには戻らないと言う。
仕方がないのだ。
時の流れとはそういうものだから。
しかし、神戸と言ってなんとなくオシャレで、海で、、だけではあまりにも勿体なすぎるし、土地がないてしまう。
この日肌で私が見た神戸の奥深さやパワーは、まだまだ未来に生かせるし、残していきたいと強く感じた。