名前 |
出水地蔵尊 |
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ジャンル |
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住所 |
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評価 |
4.7 |
出水地蔵の由来安政五年の夏(一八五六年)施主緒方家の先祖緒方幸三、当時出産物の商ひの為、旅行中葦北郡佐敷町にて腰痛の病にかかり 起伏しも自由にならず、病は次第に重くなり困りはててるた或、夜破れ衣をまとった地蔵さんが夢枕に現れ「吾は小川の里緒方家の一角に遅れて居る地蔵なり。
一つ時も早く掘り出し世に現せばお前の病は即座に良くなる」と、持ちたる錫杖で突き起さたる夢を見、不思議な事もあるものと早速小川にその旨知らせ崖崩れ跡を据下げたるに、下敷にある岩石を取除けば地蔵さんのみ姿首と胴二つになりて相現れ、又その岩穴よりこんこんと清水湧出せり、直ちに岩頭に安置奉納せり即ろ出水地蔵尊これである。
佐敷の幸三の病もその夜より腰の痛みを忘れ翌日より立ち働く事を得たりと謂ふ。
又その年九州全域に悪病が流行して居りこの湧き水を飲むと病気が治り元気な人も飲んでゐると伝染しないと謂ふ評判を聞き、傳(近郷は勿論球磨、薩摩からも竹筒瓢箪をたづさえこの水を汲みに来る人が後をたたなかったと傳(られて居る。
毎年六月一日の地蔵祭礼には近郷の善 男善女早朝より参拝して水を飲み一年の息災を祈願するならわしになってゐる。
明治四十年小川の特産物清泉かんざ らしや白玉粉はこの清水で晒し製造したのが初まりである。