水戸岡鋭治大先生の事務所です。
ドーンデザイン研究所 / / .
メカ 社名「ドーンデザイン研究所」の由来は何ですか.r水戸岡 昔のあだ名が鈍治(どんじ)だったんです.小学r校のころのニックネームなんですが,それを事務所の名前にしました.この鈍はデザイン上でも大切なキーワードだと思っているからです.r鋭角より鈍角がいい.鋭角は折れてしまうけれど,鈍角は折れない.本当に美しいデザインは鈍角なんですよ.自然を見ても良いものは良い鈍角をしているし,遠くから見て美しいものは鈍角です.鋭角のものは遠くからは見えないのでないのと同じになってしまう.でも鈍角は見えるんですね.だから車両のデザインをするとき鋭くするよりもむしろ鈍角に少し鈍めにする.デザイナーは鋭い尖rったシャープなデザインを好むけれどそれでは存在感がなくなってしまう.だから僕は自然の形に近い鈍角を大事にしているんですね.コンクリート打ちっ放し5階建ての事務所兼住宅?。
1階はフリースペース?でお洒落な中庭を見物出来る。
クルーズトレイン、セブンスターズ。
「ななつ星」博多〜湯布院〜宮崎〜都城〜隼人〜鹿児島中央〜鹿児島阿蘇〜豊後森〜博多昭和、若桜、八頭やず。
日本機械学会誌 2010年3月 今回のゲストは鉄道車両デザインの第一人者の株式会社ドーンデザイン研究所代表・水r戸r岡r鋭r治r氏である.斬新なデザインで人気を博している車両,JR九州の「つばめ」や「ソニック」を手がけたことで知られる.現在はJR九州や岡山市の両備グループのデザイン顧問などを務めている.これまでに鉄道車両のほかバスや船,駅舎なども手がけ,世界最高の鉄道デザインにおくられる「ブルネル賞」も過去4回受賞している.温かいデザインで豊かな空間を追求する水戸岡氏にデザインやものづくりについて興味深いお話をうかがった.rメカライフ編修委員 これまでの経歴につrいて教えてください.r水戸岡 実家が家具屋なので,家を継rぐために岡山県立工業高校の工業デザイン科インテリア学科に入って,高校三年間でインテリアの基礎を学びました.rそれから大阪のデザイン事務所で約三年間,多角的に工業デザインやグラフィックデザイン,インテリアデザインの仕事をやりました.そして実家に戻って2 年間,家具屋として,図面を描いたり,トラックで運搬をしたりで,いろいろやりました.rメカ 学生時代の思い出を教えてください.r水戸岡 すごく立派な先生がいたことを覚えています.デrザイン科の加藤先生です.そのころの日本は高度成長期の始まるときで,いかに合理的に,シンプルに,モダンなものを作るか,という教育を受けてきました.でも先生は「デザインは合理性ではなく情緒である」と真っ向から反対意r見を述べていました.つまり合理性より心が大事,経済性より文化が大事であると.試験はいつも原稿用紙1 枚に「デザインとはなんぞや?」とだけ書いてあり,学生はそれを考えました.そのお陰で今でも「デザインとはなんぞや?」と常に考えています.rメカ JR九州との出会いについて教えてください.r水戸岡 実家の手伝いをしていたとき,以前働いていた大r阪のデザイン事務所から海外での仕事を紹介されてイタリアのミラノのデザイン事務所で働きました.しばらくして事務所通いの生活が嫌になってバカンスをとろうと事務所を退職しました.それからヨーロッパ,アメリカとふらふらと旅を始めたんです.それから約2年弱,たびたび鉄道を使って旅していました.r帰国後は東京で事務所を開きました.最初は絵が得意だったので,イラストを描いていました.そうしているうちに九州から依頼があってそれが「ホテル海の中道」のアートディレクションでした.私は「ホテルの仕事はやったことがない」と正直に言ったのですが,皆さんがサポートしてくれてこの仕事は大成功を収めました.rこの「ホテル海の中道」の横を香椎線という鉄道を走らせるという話がもちあがり「アクアエクスプレス」を手がけることになりました.鉄道車両のデザインも経験がなかったのですが,JR九州の方に図面や材料のことを丁寧に教えていただき,これも成功しました.こうしてJR九州のデザインに少しずつ参加するようになり,バスや船のデザインもしました.rメカ 鉄道やバス,船の専門的な知識はお持ちでしたか.r水戸岡 専門的な知識はありませんでしたが,デザインのr本質は一緒です.まず誰のために,何のために,を決めてから,次に何をどうするのか.つまり形とか色,素材,使い勝手を決めていきます.建築も工業デザインも本当は全部一緒であることを,ヨーロッパでの経験を通してわかりました.だから鉄道からバス,船,駅までデザインしても,不安はありませんでした.rメカ ヨーロッパでの鉄道の旅で何か良い思い出はおありrですか.r水戸岡 旅をする人たち自身,お客さんに対するサービス,r車両から見える風景,それらすべてについて,質が高いと感じました.ヨーロッパはいろいろな面で成熟しているんですね.r一緒に旅をした人の多くが僕とコミュニケーションをとろうと努力してくれました.赤の他人,それも異民族の僕と長い時間を一緒に過ごすのですから,お互いが何を思っているのかを伝え合うことは,安全に心地よく旅するためにすごく大事なことでした.rメカ コミュニケーション能力はデザインの現場でも大r切ですね.r水戸岡 コミュニケーションできないと物事が進まない.rものづくりの現場では対話によってすべてが決まり,対話能力が高い人は質の高いものをつくれます.そうやって良い製品や心地よい空間を増やしていくことで,みんなの暮らしが豊かになります.r自分が心の中で思っていることを,正直に,正確に,相手に伝える、それが一番大事なんです.会話を交わすということはイマジネーションの闘いです.だから豊かな会話さえあれば,あとは大したことをしなくても十分に豊かになれます.rメカ 日本人はコミュニケーションが下手だと言われていrますが.r水戸岡 ヨーロッパの小さなパーティーでは料理はイモrだけで,ごちそうは会話,ということがよくあります.日本は会話がないからおいしい食べ物が出てくる.それが文化の差,生活レベルの差ですね.r対話は職場の人や同年代の人とだけでなく,子供とも,お年寄りとも,異民族ともできることが大事.それを実現するためにどういう環境を作ればいいのか,僕たちデザイナーは常に考えています.心地よい空間を作れば人間はリラックスして,楽しくなり,笑顔になり,一言しゃべりたくなり,歌いたくなる.そういう空間を作ることがデザインの仕事だと思います.rメカ 先生の代表作「つばめ」も心地よい空間をキーワーrドにデザインされたのですか.r水戸岡 豊かな対話というものは精神的にも肉体的にもr心地よい環境でなければなかなか実現しません.そのために素材,色,形,使い勝手のすべてをデザインしなければなりません.それらがすべてそろったときに,おのずと心地よさが生まれて,豊かな気持ち,対話が生まれると思います.rJR九州の車両は手間がかかっています.たとえばプラスチック樹脂の代わりになるべく天然の素材を使っている.そうした細部の積み重ねが質の高い車両,質の高い空間を生み出しています.
「ななつ星」「ゆふいんの森号」などJR九州のデザインはここから!
名前 |
ドーンデザイン研究所 |
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ジャンル |
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電話番号 |
03-3955-2116 |
住所 |
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評価 |
4.3 |
水戸岡鋭治大先生の事務所です。