名前 |
杵ノ宮・九鬼霊神社 |
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ジャンル |
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住所 |
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評価 |
5.0 |
綾部藩・九鬼氏の崇敬を受け、綾部の総氏神とされた若宮神社の境内社。
藤山の東にある本宮山にあって九鬼氏の崇敬を受け、藩祖九鬼隆季を祀る九鬼霊社が隣に設けられたが、明治時代に合祀、若宮神社境内に移された。
御神体は、まさしく餅をつく時の杵である(実際の杵は、九鬼氏と懇意であった植芝盛平に譲られ不明)この杵が御神体となった経緯には、不思議な話が残っている。
藤山の南東側、現在は府営団地が建ち並ぶ辺りはかつて大きな池であったという。
ある時、一人の行商人が近くを通りがかると、雉が罠に掛かっていた。
良い獲物だと思って失敬したが、少し気が引けたのか、代わりとばかりに罠のところに自分の売り物を置いて立ち去った。
間もなく、罠を仕掛けた者が戻ってきたが、罠にある物を見てびっくり。
まさかこんな物が罠に掛かるわけがなく、しかも山を越えたところにある大原神社(綾部藩九鬼氏によって再興される。
この遷座の際に、この土地を数千年来守る金色の鮭が現れて神託したため、この神社の氏子は鮭や鱒を食べることを禁忌としている。
)の氏子にとっては禁忌の品物だったので、慌てて池に捨ててしまったのである。
それから数年経ち、例の行商人がまた綾部を通りがかった。
すると里の者が悲しみに打ちひしがれている。
前に通った時からの変わりように、行商人は訳を尋ねた。
数年前から突然“池の主”と名乗るものが現れ、年に1回人身御供を要求し生贄となる娘を決めているのだという。
“池の主”は魚の化け物らしい。
行商人はその姿に思い当たるところがあった。
しかも“池の主”が現れた時期にも心当たりがあった。
正体を確信した行商人は、その化け物退治を名乗り出た。
そしてとりあえず武器として杵を借りると、生贄となる娘のそばに隠れて待った。
夜になると、池から巨大な化け物が現れた。
行商人はその姿を見るなり飛び出すと、いきなりその頭目がけて杵を振り下ろしながら怒鳴った。
「きさま、俺が罠に置いていった乾鮭じゃないか。
しかも値段がたったの3分5厘。
安物のくせに人を取って食うとは、身の程を知れ!」化け物は一瞬きょとんとしたが、正体をばらされた途端に神通力を失ったのかみるみる小さくなっていき、元の乾鮭の形に戻っていった。
勢いづいた行商人はこれでもかと杵で殴り倒し、とうとう乾鮭はばらばらに砕けてしまったのである。
その後、行商人はまた元のように商いをしに土地を離れ、里の者は杵を御神体として社を建てた。
そして元凶となった池は、水路を造って水を抜いて更地にされたという。