名前 |
勢伊多賀神社 |
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ジャンル |
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住所 |
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評価 |
3.8 |
◯勢伊多賀神社植樹の碑名にしおふ城山の眺望はいふもさらなりいでや此の辺りのはら、紅葉を移し植なば一しほの興をまし春秋毎にひとびとの難苦をなぐさむるよすがになり、なにかとかしこくも君のおぼしたち命じたまひしはいにし天保十餘り四つの卯年菊月のころになん待りし。
その御恵のいとありがたさにもろもろの民子のこし寄つらひちからをあはせ労を厭はず遠地(オチ)こちより桜もみず(紅葉)を始めくさくさの木を持つどひここかしこにわかち植へ培ひ灌きをし待りぬ。
地味よく根付日ならずして事なりぬ。
それより梢おひ茂り花は白雲をなし楓はにしきを染、今は名だたる名所にもをさをさ劣らざる春秋のにぎはひ老たるとなく若きとなく割子・小竹筒など携へ挙きつつ木の下蔭に酔かわし家路をわすれ遊びたはむるるありさまは実に貴賤のこころをなくさめ上下楽をおなじくするに至りぬること君の御こころかもかなひぬべし。
かくこの里の勝地に成りぬる御恵の始めより聊(イササカ)拙き筆に書誌し(カキシルシ)石に勅して永く朽ざらんことを翼ふになん。
城山のさくらは花のちりて先 下馬はありとも駒なつなきそ嘉永甲寅春 尼子正名識(「松本の石造文化財」)◯社号額 窪田畔夫書◯神饌幣帛料供進神社標柱 小里頼永書(推定)