名前 |
二渡神社 |
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ジャンル |
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住所 |
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評価 |
3.8 |
昔この里に酒造りで財を成した長者が住んでいた。
その長者の夫婦には一人娘がいたのだが、とても美しく心の優しい娘であった。
ある日親子三人で御伊勢参りに出かけ、無事に御参りをすませた帰り道、どこからともなく現われた一匹の白い犬が、この親子の後ろについてきた。
そしてその犬が娘になついたので、長者はこの犬を屋敷で飼うことにした。
ある年とあることを祈願するため、長者の娘を人身御供にすることになったのだが、娘を人身御供にする三日前の夜、その犬が長者の夢に現われ、「私を人身御供にしてください。
どうか恩返しをさせてください」と言って姿を消した。
そのため長者は里人たちと相談した後、犬を娘の身代わりとして人身御供にすることにした。
犬を人身御供にした夜は、真っ黒な雲が空を覆って激しい雨が降り、長者の屋敷に集まった里人たちは、悲しみの表情で一夜を明かした。
翌朝、長者と里人たちが犬を人身御供にした場所に行ってみると、一匹の大きな狸が血まみれで死んでいて、その横には、長者の娘が可愛がっていた犬が哀れな姿で死んでいたという。
この伝説の犬と狸の戦いは、里人たちが「館の山」と呼んでいる場所で、昔、館山城という城があったという。
この犬の死骸は土橋にある二渡神社へ、狸の死骸は鶉崎にある諏訪神社へ埋葬されている。
(「おおさと昔かだり」より抜粋)