名前 |
観音坂 |
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ジャンル |
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住所 |
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評価 |
2.8 |
かつて国道が開通するまで、忍路と蘭島をつなぐ大切な生活道路として通学の生徒たちや蘭島駅に向かう人々でにぎわっていた。
文学者伊藤整の詩集『雪明りの路(みち)』の「月夜を歩く」の一場面として登場。
忍路には当時、伊藤整の初恋の人と言われた角田(かくた)チエという少女が住んでいた。
彼は、この少女への思いを胸に、月夜の道をはるばる塩谷から歩いてきた。
しかし、少女に会うこともなく、ただその家の前をそっと通りすぎ、観音坂を越えて蘭島駅へ向かった月夜を歩く⇒泣きやんだあとの様に/月が白い輪をもつた夜更けて/私は/ひとり忍路の街を通りぬける。
(中略)塩風で白くなつた板戸の前をすぎて/わるいことをするやうに/下駄の音をしのばせてそこを通りぬけた。
/あゝ 何のための/遠い夜道だつたらう。
/いたどりの多い忍路から出る坂路で/誰も知るまいと/私は白い月を顔にあびて微笑んでみたのだ。