久見崎海岸の特徴
名前 |
久見崎海岸 |
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ジャンル |
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住所 |
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評価 |
3.1 |
ただ、最高の釣果を求めてたどり着いた場所は社会問題の震源地であった。
資源のないこの日本、増大する電力需要に応えるため造られた夢のエネルギーの強い光は濃い影を落とす。
有刺鉄線と監視カメラに囲まれた施設が見下ろすこの砂浜にはみすぼらしい反原発派の櫓が海風に吹かれていた。
海岸で流木を燃やす1人の男は軽く手を振った。
ひょっとすると櫓の主かもしれない。
反原発を叫ぶ彼の姿は生きた1人の人間であった。
この浜は人が手入れをする海岸であるため、漂着物も少なくとても美しい状態が保たれている。
干潮からの上潮、梅雨の晴れ間の暑い日差しを全身で感じる。
海水パンツ一丁で膝まで海水に浸かり、10ftのシーバスロッドを何度も振りかざした。
ベイトであるカタクチイワシに似せたイワシ色のシンキングミノーがあっという間に遠くの豆粒になり水面を弾く。
ベタ凪の海面をPEラインが描く波紋が微かに広がる。
リールを焦らず、巻いて、食わせの間も意識する。
日が傾き始めたとき、俄に活性を水面に感じる。
何かが海中で蠢いていることが分かる。
そんなとき、唐突にガツンと衝撃が伝わってきた。
ラインが走りドラグが心地よく響く。
右に左にラインが走る。
デカイ。
直感した。
一瞬の隙をついてリールを巻いて魚を寄せる。
激しい水飛沫を上げてチヌが跳ね上がった。